SNS 投票時に全体の41%が重視
【映像】2022~2023年に流れたフェイク情報
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 22日に行われた東京都議会議員選挙。ANNが行った出口調査によると、投票先を選ぶ際に「SNSを重視した」と答えた人が全体の41%にのぼり、半数にせまる割合の人がSNSや動画サイトの情報を参考にしたと回答している。

【映像】2022~2023年に流れたフェイク情報

 SNSや動画サイトの情報が政治や選挙に及ぼす影響は、2024年から大きく変化していると専門家は指摘する。

「2024年は、日本におけるSNSと選挙の転換点だったと考えている。(2024年の)東京都知事選では、SNSや動画共有サービスで人気となった『石丸現象』を巻き起こして、当初の予測よりもはるかに多い得票数で2位につけた。兵庫県知事選では、同じようにSNSで人気となった斎藤さんが再選を果たす結果となっている」(国際大学・山口真一准教授、以下同)

「例えば、兵庫県知事選をみると、非常に多くの世代にSNSや動画共有サービスが影響を与えるということが指摘されており、エンターテインメントとしてSNSや動画共有サービスを見ているだけではなく、選挙という非常に重要な場面で、情報源にする人が上の世代まで含めて増えた」

 実際に、それ以前にあった2020年の東京都知事選挙では、X(当時のTwitter)の投稿の9割以上が小池知事に関する批判であったにもかかわらず、結果は2位に大差をつけての当選。その後、SNSが投票行動に大きく影響を与えるようになり、メリット・デメリットも顕著になってきたという。

「メリットは、例えば兵庫県知事選では投票率が15ポイント増加したことがわかっている。それだけ多くの人の注目を集めて関心が高まり、政治参加への裾野を広げるという面がある」

「しかし2つのデメリットがある。SNS上では過激な言説や真偽不明情報、あるいは対立構図などが非常に拡散されやすい」

 候補者や政党の政策ではなく、過激な情報により投票行動が左右されてしまうという。それによりさらに深刻なデメリットとなるのが。

「有権者がそういったものばかり見ると、どうしても意見が極端化していく。その結果何が起こるかというと、社会の分断だ」

「選挙のときには確かに競争が起きるが、それが終わればみんなで合意形成して、よりよい社会を作っていこう、これが民主主義。ところが、あまりにも選挙時に過激な情報で社会の分断が進んでしまうと、その後のみんなで議論をするというプロセスに大きな支障をきたす」

SNSの仕組みならではの課題も
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