SNSの仕組みならではの課題も

国際大学 山口真一 准教授
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 さらに、SNSの仕組みならではの課題があげられるという。

「“アテンションエコノミー”という仕組みで、いま誰もがネット上で目立つことによって、閲覧数・視聴数を稼いで広告収入を得ることができる」

「その結果、例えば兵庫県知事選では、普段はガーデニングやゲーム実況の動画をアップしているチャンネルで、急に『兵庫県知事選の話題』を投稿するようなことがあった。切り抜き動画も大量に作られたが、それを作っている人たちがかなりのお金を得ているという報道もある」

 山口氏はSNSにおいて、真偽不明のフェイク情報などを流す動機としては、「政治的動機」と「経済的動機」があると話す。

「『政治的な動機』から誰を勝たせたい、誰に負けてほしい、そういったことでフェイクが流されることもあれば、またお金儲け。多くの人が注目する選挙だからこそ、いまフェイクを出したらものすごく見られるかもしれない。そういったことでフェイク情報や真偽不明情報を出す。このような動きも活発になると言える」

 実際に2022~2023年に「岸田文雄政権(当時)が奨学金・失業手当に課税する」「手術せずに性自認のみで戸籍の性別が変更できるようになった」「サウナで年間1万7000人が死亡している」という、ウソや誤りの情報が流れた。

 山口氏の調査によると、これらの情報を正しく「誤りである」と判断できた人は、わずか14.5%だったという。

「忘れないでほしいのが、誰でも騙されるということ。“自分は大丈夫”と自信たっぷりな人ほどフェイク情報に騙されやすいし、拡散してしまうという結果も出てきている。自分も騙されるかもしれないと謙虚な気持ちで情報空間に接することが非常に重要である。そのうえで是非、一呼吸おいて、情報検証する癖をつけてほしい」

マネタイズ規制は可能?
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