■フェンタニルが国際問題にも発展 日本への影響は

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 アメリカ・トランプ大統領は、中国がフェンタニル原料がアメリカに流入することを抑制できていないとして、今年2~3月に20%の関税賦課を実施した。これに中国は「根本はアメリカの問題で中国は強力な措置を取ってきた。恩を仇で返すやり方だ」と反発。先月20日に中国がフェンタニル原料を規制対象に追加したことで、フェンタニル関税の撤廃に期待しているが、このように国際問題にまで発展するほど事態は深刻だ。では名古屋に一時期、拠点があったと報道された中、日本国内での影響はどこまであるのか。

 まず名古屋に拠点があったという報道について石田氏は「日本に薬物や原材料が荷揚げされるようなことはなく、日本経由という体にしてスルーした、踏み台にしたのではないか」と分析する。また日本における管理体制はかなり厳重だとも述べた。「フェンタニルが日本の税関で最初に押収されたのは2005年で、今から20年前のことだ。チェック体制は厳しくなっているし、原材料も規制薬物のリストに全部載せていて、見つかった時点ですぐ取り締まっている。なかなか日本の中で広まらないのは、薬局や医者のチェックが厳しいこともあるが、税関など水際でしっかり食い止めているのではないか」。

 ただしフェンタニルにも種類があり、その特定も難しくなっていると指摘する。「フェンタニルにも今、20種類以上の亜種がある。イタチごっこになっていて、規制薬物だとピンポイントに判別するのが難しい」。ただし今の日本においては、しっかりと規制ができている状態だとも語る。「原料さえあれば簡単に作れてしまうので、それは絶対に避けなくてはいけないが、日本の規制当局はその原材料も強く規制しているから、原材料さえなければ気軽に作れないと思う」。

 またSNS上では、街中でゾンビ状態になっている中毒者の動画が出回っているが、そのような映像も注意喚起につながっているとも述べる。「非常に怖い映像を見ることもあるが『怖がらせる』のは重要だと思う。大麻は毒性や依存性が低いというような間違った情報が入ってきているが、今怖がらせておけばフェンタニルはあまり広がらないのではないか」。
(『ABEMA Prime』より)
 

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