■「トカラ列島群発地震が南海トラフを誘発することはない」

長尾年恭会長
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 ここ最近の群発地震について、日本地震予知学会の長尾年恭会長は、「火山性」の群発地震とみられると考えている。規模はマグニチュード7以上は考えにくく、期間としては6月21日から1カ月(後2〜3週間)ほど続くのではないかと予測する。

 火山性地震の特徴として、「巨大地震は起きない。火山があるということは、地下にマグマがある。冷たい方が大きな破壊が起こるが、小さな地震が群発することによって、エネルギーが小出しになる。大きな地震が起きづらいのはいいことだ」と説明する。

 今後どの程度続くのか。「過去のものは2週間程度で収束していたが。今回はすでに2週間たっている。全部で1カ月、残り2週間ほどは収束の気配が見えず、もう少し続くと考えた方がいい」。

 南海トラフ地震との関連性を気にする声もあるが、「トカラ列島の群発地震が、南海トラフを誘発することはまずない。フィリピン海プレートにより、西日本全体の活動が高まったから、昨年8月の“臨時情報”が出され、トカラの地震が起きた。原因と結果が逆になっている。少なくとも1週間や1カ月単位で、危機が高まっていることはない」と語る。

 もし南海トラフ地震が発生すれば、「東日本大震災の被害総額は20兆円だったが、人口比から考えても、その10倍以上の被害が出る。加えて、インフラの老朽化が進んでいることから、100兆円を超える被害が出るだろう」と推定する。

■被害想定と減災目標
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