日本がターゲットに?

エコノミストの崔真淑氏
拡大する

 今回の税率を、アメリカ経済に詳しい第一生命経済研究所の前田和馬氏と、ニュース番組『ABEMAヒルズ』のコメンテーターでエコノミストの崔真淑氏はどのように見たのか。

「日本がターゲットにされているのではないかなと気になる。ただ今回、この発表を受けての株式市場の反応をみると、アメリカ株、そして日本株も大きく下げるというのはあまり見られなかった。むしろ日本株に関しては、また反発して上昇している。まさにタコトレードかはまだわからないが、結局、8月1日以降も延長してくれるのではないかという期待が出ている」(崔真淑氏)

「トランプ氏が深く考えているのか少し怪しい部分がある。ただ、真っ先に日本に対する書簡を自身のSNSで投稿したというのは、おそらく若干苛立っている部分はあると思う。日本と米国は同盟国で、すんなりと交渉をまとめてほかの国に貿易協定の成立を増やしていきたい中で、日本がまとまらずに強硬な姿勢を示している。トランプ氏は見せしめ的に行動を取ったりするので、日本にだけ関税を上げて、ほかの国も従わないのなら日本のようになってしまうよといった懸念が残る内容で怖い」(前田和馬氏)

 では、ターゲットにならないためにはどうしたらいいのか。前田氏は次のように述べる。

「従来通りの強硬な姿勢ではなくて、ある程度、アメリカに対して歩み寄りの姿勢というのは必要。アメリカは今いろいろな関税をやっているが、例えば日本の焦点である自動車関税に関しては、特に法的な争いなども生じてはいない。かなり法的にはしっかりしていて、トランプ氏が続けられる余地があるというところなので、これをゼロにするのはかなり厳しい話。ただ、25%は受け入れられないので、どれだけ下げられるかを交渉で考えていくのではないか」

 日本としては、自動車は非常に大事になってくる。アメリカも自動車に対しては厳しくやっていく意思が固いが、ほかのところで駆け引きしていく可能性、余地は残っているのか。

「日米双方でウィンウィンの関係を築ける分野は複数あると思う。例えば、農産品に関しては当然、米価格が上がっているので、アメリカから米の輸入を増やすであるとか、あるいはエネルギーの安全調達、アメリカの液化天然ガスを買い取り、中東の依存度を下げるというのは日本の国益にかなう話。あとは、日本の方向性として防衛装備品、防衛費を増やす話はあるので、最新鋭の防衛装備品を買う。こういったような一種のパッケージで、トランプ大統領が支持者に対してアピールをしやすいように、いろんな飴を与えるというのは1つの交渉のやり方」(前田氏)

“新税率”でアメリカ&日本国内にどのような影響が?
この記事の写真をみる(3枚)