“新税率”でアメリカ&日本国内にどのような影響が?
アメリカは今、日本からの輸出品に関して相互関税の14%は停止、基本関税10%がかかっている状況だ。新しい税率が始まると、アメリカ国内ではどのような影響が出るのか。崔氏と前田氏はこのように話す。
「大きく2つの見方がある。現状、関税の対象になっている商品は、物価上昇率を見てみると1%~2%ほどしか上がっていない。企業が関税によって上昇した分の利益を削ってなんとか踏ん張っている。ここから何が起きるのかというと、1つは、企業が抱えている在庫や部品などがはけたら徐々に価格転嫁、そして価格がさらに上がっていくということが起こるかもしれない。一方で、トランプ大統領の任期はあと3年だから、任期中は価格転嫁せずになんとか頑張る。減税を盛り込んだビッグビューティフル法案が可決されたので景気が悪化するリスクは小さくなるのではと思うが、どちらに転ぶかはまだ分からない」(崔氏)
「耐えるという意味では、真っ先に値上げをしてしまうとトランプ大統領から攻撃を受ける。政治的な動きに巻き込まれたくない企業が、少し値上げをためらっている部分はある。ただ、ずっと企業努力で吸収するのは現実的には難しい。アメリカでもいろいろな企業調査があるが、大体関税がかかってから1~3カ月で値上げをするという回答結果が多い。実際に関税が上がったのは4月からなので、夏場の7、8月ぐらいには徐々に値上げの動きが本格化してくる。おそらく値上げしたい企業はたくさんあるので、他も上げるのであればうちも上げようといった動きが広まってくると、物価上昇と消費の下押しという動きがアメリカ国内でも顕在化すると思う」(前田氏)
では、日本企業や日本国内へはどのような影響があるのか。
「現状ではまだわからない。中国がすごく高い関税を課せられたままだったら、日本経済にプラスじゃないかという試算もあった。しかし、中国に関しては一旦停止という話なので、むしろ日本経済に直にマイナスの影響が出ると思う。ただ、日本銀行の統計をみると、まだ関税に関してどう出ていいのかわからない、それほど危惧する声は出ていないので、年内になんとか10%程度までには関税を抑えてほしい」(崔氏)
日本の企業がアメリカに生産拠点を移すという話も出ているが、前田氏は「まだ企業が踏み切るのは難しい」と話す。
「最終的な関税率がどこに落ち着くかよくわからない。仮にアメリカで生産をすると非常に時間のかかる話。アメリカに工場を作るとなると、土地を押さえて、実際に建物を建てて人を雇わないといけない。いろいろな工程を踏むことを考えると今決定したとしても、本格的に物を作れるのはおそらくトランプ氏がいなくなってから。非常にタイムラグがあるので、トランプ氏がいなくなっても関税が続いているのかもわからない中で、企業としては、検討はするけど本格的に動けるかというところは踏み込みづらい部分。8月1日までもわからないし、8月1日からもわからない」
(『ABEMAヒルズ』より)
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