当事者・崔真淑氏に聞く「どう受け止めている?」
エコノミストで、現在、一橋大学大学院の博士後期課程にも在籍している、エコノミスト・崔真淑氏は「やっと来たかと思っている。日本人で博士課程に通っている人が、国立大学なのに少ない状況。中国・韓国や、ASEANの国々、外国の方が圧倒的に占めている」と話す。
ただ、「日本人だけにコストをかけるべき」ということではなく、留学生が多い現状を考え、格差を是正することが必要だと語った。
「『日本の税金だから日本人支援だけ』とは思っていない。むしろ優秀な留学生の方にたくさん日本に来ていただき根付いてもらい、日本にもプラスになることをしてほしいというのが狙いだ。ただ現状、あまりにも博士後期課程に外国の方しかいなさすぎる現状があるため、日本人の方により来てもらうようなインセンティブをつけることは必要だと思っている」(崔真淑氏)
一方、海外で研究をする日本人はどう捉えているのか。香港科技大学の経済学者・川口康平助理教授に聞くと、そもそも研究者と博士課程の学生は、日本で根強い「教育を受ける」イメージとは異なり、それぞれ一般企業でいう “管理職”と、“新入社員~中堅社員”のような立場だと強調する。
「日本の普通の社会だと、博士課程の学生はまだ学生で勉強している立場という認識だと思うが、博士課程の人は基本的に、目的を達成する最善の方法を自分で考えて実行し、問題があれば自分で解決して、それでも無理なら上司に報告することができる人たちという位置づけ。そんな人たちを無給で取ってくることは、厳しいというのが普通の感覚」(川口康平助理教授、以下同)
香港の場合、授業料や生活費、業績に応じたボーナスの支給など、博士課程在籍者の支援に力を入れていると話す川口氏。今回の方針転換が、日本の研究力の低下につながる懸念を以下のように語った。
「待遇を悪くすれば仕事が回らなくなるだろう。雇う側からしたら日本人でも外国人でも、中国人でも関係ない。仕事できるならいてほしいし、そうでなければ困る。国内の日本人も減っているのもあるが、それ以前に研究の世界はグローバルな市場の中で動いているため、その中で一つの国だけ違うことすると、競争という意味では劣後する要因になる。キャッチアップしていかなければならない時期にブレーキを踏んでしまうと、ますます日本の研究業界が世界から遅れていくことになるのではないかと思う」
“留学生として来日し起業” ファリザ氏の意見は…?
