■現場・指導者の苦悩と葛藤

朝比奈優氏
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 体育や部活動の中止が、全国で相次いでいる。北九州市では、その日の暑さ指数によって、市立小中学校の体育・部活動などを一斉に中止(午前7時時点の予測値33以上または実測値31以上)。山形・米沢市は、暑さ指数31以上で体育や運動会・部活動を中止する。北海道・帯広市では7月7日、熱中症警戒アラートが発表され、屋外の体育や部活動が中止された。

 大阪・堺市で中学生にサッカーを教えている「エスコーデ野田スポーツクラブ」事務局長の朝比奈優氏は、夏休みの練習は朝7時から9時の2時間のみに限定している。たまにナイターで18時から20時くらいにやることもあるが、31℃にいかない時間帯で行うそうだ。夏に練習しないと将来的に伸びない心配もあるが、走らせられないため、水泳やプールで身体機能を上げることも重視している。しかし一方で、放送翌日も13時過ぎから試合があるそうだ。

 朝からの練習については、「その時期になると、毎年親御さんにお願いしている。10年以上この形でやっているが、10年前は涼しかった7時が、今はかなり暑い。環境が変わっているから、いろいろと考えないといけない」と説明。

 2時間の練習時間は少なくないのか。「種目や人数によって変化するが、休憩も入れながら2~3時間で、できるだけ効率のいい形でやろうとクラブ内で統一している」。

 熱中症予防に関しては、「公式戦の時には、アクエリアスやポカリスエットなど、塩分の入ったスポーツドリンクかOS-1を1人1本飲ませている」と対策している。

 朝比奈氏は、クラブでのスポーツ指導者だけでなく、体育教員としても活動している。「体育の授業では、“運動の二極化”が起きていて、やっていない子はとにかくやっていない。その子に適した形の運動が求められ、目的やテーマに応じて、種類や強度などを考えながらやっていくのが理想だろう」。

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