■みんなの前では元気、でも1人になると…
微笑みうつ病とは、医学的には「非定型うつ病」の一種だ。元気そうに見えるが、内心では抑うつ状態で「隠れたうつ病」とも呼ばれる。「『自分はうつ病ではない』と思い込み、治療を受けるタイミングを逃す」「周囲から理解が得られにくい」「専門医でも診断が難しいケースがある」といった特徴がある。
微笑みうつ病の特徴として、職場や学校では明るく社交的だが、1人になるとふさぎ込む・体が重く動けなくなることがある。また、うつ病と気づかれないため、周囲は「元気で大丈夫」と誤解しがちだ。周囲に助けを求めず症状が悪化しやすいのも注意点となる。
現在32歳のパンクンさんは、20代後半くらいから徐々に体調に変化を感じたが、当初は寝不足くらいに思っていた。去年「うつ病」と診断され、医師からは「もっと前からうつ病になっていたと思う」と言われたが、自覚はなく家族でさえも気付かなかった。周囲が気付かなかった理由には「ムードメーカー的な存在で明るい性格」「家族といる時も常に元気なパパでいられる」ことがあるという。
病名を知った経緯を「年のせいだと思っていたが、ネットでセルフチェックすると『重度のうつ状態。今すぐに精神科に受診して』という結果が出た。すぐにオンラインで受診して、はっきりうつ病だと診断された」と振り返る。
症状としては「1人で家にいるとき、ぐっと沈む」のだそうだ。「うつに入ると、特に初期段階は、何もできない。歯も磨けず、起きるだけでつらいが、夜は眠れない。『薬を飲んでやっと寝たのに起きちゃった』と思い、布団から出られずにご飯も食べられない状態が続いた」。
家族に伝えても「『そんなわけないでしょ』と、バカにされる感じの半笑いだった。信じてもらえないのが一番きつい」という。「きっかけはわからないが、日々のストレスの積み重ねだろう。心のコップから水があふれたように、誰にでもある病気だと思っている。ストレスに強いと思っていたが、完全にあふれてしまったので、新しいコップに変えて、少しずつやっている」。
言われたくないNGワードは「頑張って。応援しているよ」で、「自分は完全に頑張っている。頑張ったうえで、死にたいと思っている。『何を頑張るの。お前にはわからないだろう』と思ってしまう」と説明する。
■自分が微笑みうつ病だと感じたら…どう向き合うべきか
