AI×医療 具体的な使われ方
では、実際にどんな形でAIの利用が始まっているのか。具体的な使われ方を中安氏が解説する。
まず1つ目は「AI内視鏡」だ。
「胃がん検出の内視鏡のときに今までは医者が画面を見て、ここにこんな病気があってポリープや癌かもしれないと判断していたが、AIを補助的に利用することで見落としを減らす効果がある」
2つ目は「AIで心電図解析」だ。
「今までは長い紙を先生が1枚1枚めくって見ていた。当然これも人間なので見落としたり見間違えたりもするので、AIに心電図のデータを勉強させて、『ここの心電図の異常はこういう病気かもしれないね』と補助的にわかりやすくしてくれる技術になる」
3つ目は「心エコー図画像の判読」だ。
「今までは、医者が1つ1つ手作業でやっていた。それをAIがやることによって計測しやすくなったり、心臓の動きを見て異常がないか判断するのをAIが補助する」
この3つの使われ方を踏まえ、今井氏は「非常に良い例」と評価する。
「人間の脳みそでできないことはいっぱいある。AIという別の知能に任せるしかない。今まで見つけられなかった、あるいは分量的に絶対できなかったことでも手が届くようになるのは非常に大きい。これは我々研究・開発者、医療だけではないが、目指しているところで、非常に良い例」
一方で、AIの技術でどこまでできるのか不安はあるのか。中安氏はこのように話す。
「AIが普及して、医者がいらなくなって仕事が奪われるのではという危機感が医療従事者側にも一定あった。いろいろな技術を紹介したが、AIが勝手に診断して終わりではなくて、最終的には医者がチェックして責任を負う体制になっているので、そういった観点で医者にも残された役割はあるし、患者さんの、自分を見ている先生としっかり信頼関係を築いて治療を受けていきたいという気持ちにも応えられる」
画像分析以外のアプローチ方法も?
