【WRC 世界ラリー選手権】第9戦 ラリー・フィンランド(7月31日〜8月3日)
WRC(世界ラリー選手権)の第9戦がフィンランドで開催された。前戦エストニアで劇的初優勝を遂げて注目を集めた“新星”オリバー・ソルベルグだったが、今大会はマシンが1回転する壮絶なクラッシュを演じてしまった。
ラリー・フィンランドの舞台は首都ヘルシンキの北に位置する「ユヴァスキュラ」周辺エリア。このユヴァスキュラにファクトリーを置くトヨタ(TGR-WRT)にとってはホームゲームということで、一昨年の優勝者であるエルフィン・エバンス、地元出身の元王者カッレ・ロバンペラ、昨年の優勝者にして最強の大ベテラン、セバスチャン・オジエなどのドライバーを揃え、万全の体制で臨んできた。
前回、WRC初優勝を果たした脅威の若手ドライバー、オリバー・ソルベルグは、今回はセカンドカテゴリーのWRC2でエントリー。現在、ソルベルグはWRC2のポイントランキングでトップを堅持しており、こちらのシーズンチャンピオン獲得も期待されているためだろう。
しかし、本格的な戦いがスタートした8月1日のデイ2に、ソルベルグは前戦の活躍が嘘のような失態を演じてしまう。まずはコースミス。森林地帯の左コーナーで、コースを見誤ったのか、ロープが貼られた民家の入り口へ入ってしまうという初歩的なミスであった。
そして次のミスはより影響が大きいものだった。ハイスピードコーナーが連続するエリアで、マシンが跳ねてしまい、アウト側へコースアウト。マシンは横転したうえに後方を向いて溝にハマってしまい、ソルベルグとコ・ドライバーは状況を察したのか、慌てるそぶりも見せず、そのままデイリタイアとなってしまった。
フィンランドのステージは見通しの悪い森林地帯のハイスピードグラベル(未舗装路)で、さらに不安定な天気もあって難しい路面コンディションではあったが、注目を集めていただけにソルベルグにとって悔やんでも悔やみきれない結果となった。
ソルベルグ自身も本人のXで、「残念ながら私たちの金曜日はSS7で終わりました……ライン上の石がマシンを弾き飛ばし、溝に落ちてしまいました。気持ちを取り戻して戦おうとしたけど、どうにもならず。非常に残念ですが、これも人生です。明日に期待します」とコメント。ソルベルグは3日目に再出走したものの、このアクシデントが響き最終的にクラス16位でフィニッシュした。(ABEMA『WRC 世界ラリー選手権 2025』/(C)WRC)
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