■野党の“若さ”に押された?自民党の敗北は高齢議員のせいか

平沢勝栄氏
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 元復興大臣の平沢勝栄衆議院議員(79)は、「『みんなが高齢化を問題視している』とするのは大間違いだ」と反論。今回の参院選の結果を受け、政界を引退した武見敬三前参議院議員(73)を前に、「武見氏と一緒に活動したが、すごい馬力で他の人にはできない。年齢は全然関係ない。アメリカのトランプ大統領(79)も元気いっぱいだ。個人差を無視して、『みんなダメ』というのはどうなのか」と疑問を呈する。

 世間では「高齢者向けの政策が多いのでは」との意見もあるが、これには「地元では『高齢者への支援策が少なすぎる』と怒られる」と返す。「年齢は関係ない。若かろうが良い人は良い、悪い人はダメ。年を取っても元気な人もいれば、若くてもダメな人はいる。それは世界共通だ」。

 武見氏は「今のように時代が大きく変化するときは、年齢ではなく、『どれだけ未来志向で考えられるか』で判断した方がいい」と指摘する。「国会の審議では、自分の意見を主張するだけでなく、相手の意見も丁寧に聞いて、共通項を見いだそうとする努力が必要だ。そこでベテラン議員が、若い世代に行動で示す重要性が、とくに参議院では大きい」。

 パブリックテクノロジーズ取締役CTOのTehu氏は、「ある会合で平沢氏が、官僚に重要な指摘をして、官僚が答えに窮している瞬間を見た。若手議員であれば、それほど強く詰め寄れなかっただろう。それにより物事が動いた場面も多々あるはずだ」と評価する。一方で、「時代が変わり、『それでは選挙で勝てない』といった状況になっても、その気持ちを突き通すのか」と疑問に感じている。

 武見氏は今回の参院選を「高齢者の人口増加で、若年層の負担が増える構造的な原因で、社会的なストレスがたまり、投票行動に表れた結果、自民党が大敗した」と分析する。「そうした時代感覚を読み、『どう解決するか』の処方箋をきちんと議論することが、今後の国会議員には大切。何を基本的な価値として、この国の将来を考えるかだ」。

 加えて、「若い世代の投票率が上がった。間違いなく若年層の声が大きくなりつつあり、さらに若い政治家も増える。市場のメカニズムのように、選挙を通じて社会を作り替えていく。これが民主主義のプロセスだ」と語った。

■「見る政治」時代で高齢議員は生き残れるか
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