■「見る政治」時代で高齢議員は生き残れるか

武見敬三氏
拡大する

 米農家の徳本修一氏は「年齢で区切るのは差別であり、まさに未来志向をどう評価するかだ」としつつ、「執行部は代謝することでイメージが変わる。小泉進次郎農水大臣と対談したが、若い人が立つだけで、われわれ農家のモチベーションは変わる。若い人を責任あるところに置くのが重要だ」と考える。

 そして、「農協に対して、似たような感覚を覚える」と続ける。「インフラを持っていて強い組織だが、ボードメンバーが高齢化・固定化して、どんどん形骸化している。フランスのシャンパーニュで一番大きい農協は、49歳の組合長が未来志向の成長戦略を描き、会社のように運営している。リスクを負ってでも、若手を登用するようになれば、世間の見る目も変わるのではないか」。

 EXITのりんたろー。は、「言葉の“飛距離”は、ある程度決まっている。70代が『若者に寄り添う』と言っても、届くのは40〜50代までだ。それが40〜50代の政治家なら、20〜30代まで届くのではないか」と考えている。

 ギャルタレントのあおちゃんぺは、「見せ方がうまい人が、若者に好かれて勝つ『見る政治』になっている。世間やSNSで『どうなのか』と問われる主張をしても、若い子の中では推されている。年齢層によって、政治家に対する評価基準が違う。『見る政治』は高齢者に評価されづらい傾向にあり、楽しませられれば、『話し方がどうか』と問われることはないだろう」と話す。

 武見氏は“見せ方がうまい政治家”として、麻生太郎衆議院議員(84)を挙げる。「政治は見せ方が大事。最年長だが麻生氏は年寄りに見えない。ただ私は、見せ方よりも政策の解説が得意だ」。

 また、「政治の世界は、見る人の感性に訴えるだけではいけない。理性的に日本の将来像を考えて、国民に理解してもらえるようなコミュニケーション能力が求められる。民主主義の中での方向転換には“聞く力”が大事で、ベテラン議員は確実に蓄えている。若い世代も古い世代も、そうした能力をちゃんと持ち、協力し合いながら品格のある民主主義を作るのが大事だ」という。

 比例代表の候補者は、特定の業界団体から支持を得ている場合も少なくない。これもまた“既得権益”と問題視されがちだ。「時代の変化の中では、既に役割を終えたような業界団体は、きちんと淘汰されていくことが必要。それが大きな声になったから、自民党が負けた」。

 EXIT・兼近大樹は、「どんな年齢でも、ともに同じ時代を生きている。芸人でもベテランは『若い子が高く飛べる』ような踏み台になってくれて、飛んだ後には抱っこまでしてくれる。だから若手がのびのびできる。ベテラン議員もそうした役割で、今後も活躍していってほしい」と期待を込めた。
(『ABEMA Prime』より)
 

この記事の画像一覧
この記事の写真をみる(4枚)