■通知表を廃止した元校長

國分和哉氏
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 2020年度に通知表を廃止した神奈川県の茅ヶ崎市立小学校の元校長、國分和哉氏は、当時について、「通知表をやめようとして、職員と話し合いがスタートしたわけではない」と振り返る。「学習指導要領が4観点から3観点に変わっていく中、作り直すのではなく、保護者に何を伝えたいのか、子供に何を伝えていけばいいのか。職員の疑問をいっぱい出した。教師たちが一生懸命、通知表を作成しても、保護者が丸の数でしか見ず、伝えたいことが伝わっていない。だから、他の伝え方にチャレンジしてみようとなった」。

 その後、「面談や普段のやり取り、ノートや作品へのコメント、良い意見を言った生徒の保護者への電話連絡など、別の方法で伝えることに挑戦し廃止した」という。

 廃止後については、「すぐに結果は出ないので、長い間見ていかないといけない。(通知表を)辞めたら保護者が騒ぐのではないか、子供たちにとってマイナスの子もいるのではないか、など不安があった。しかし、職員たちと話し合っていく中、『私たちが育みたい子どもたちは一体どんな子だろう』と言ったとき、通知表で一喜一憂する子ではなく、考えが言えて、協力し合うことができる子どもたちを育てたい。また、通知表を辞めたら先生たちが変わっていく期待があった。
当時の職員には言わなかったが、内心は先生方の意識改革や授業改革も狙いだった」と明かした。

■「モチベーションに繋がるから必要」
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