■「トランプ氏は最近、本気でノーベル平和賞を欲しがっている」

鈴木一人氏
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 ウクライナ侵攻をめぐる、トランプ氏の対応は目まぐるしく変わっている。大統領選では「24時間で停戦」と強調。2025年2月にはゼレンスキー大統領と首脳会談するも、関係悪化で3月に支援を一時中断した。7月になってパトリオットミサイルを提供し、停戦から「防衛支援」に転換か、との受け止めが広がった。そして8月15日、停戦から「和平合意」にシフトした。

 国際政治学者で東京大学公共政策大学院教授の鈴木一人氏は、「トランプ氏は最近、本気でノーベル平和賞を欲しがっている」と見ている。「『戦争をやめさせるのが、アメリカの国際的役割だ』と、立ち位置を変えようとしている。今までは『西側のリーダーや同盟国として他国を守る』立場だったが、他国を守るより、今ある戦争を止める役割に変えたがっている」。

 トランプ氏の行動は「ゼレンスキー氏や欧州諸国の首脳との交渉で変わる」として、「トランプ氏は“その先”を考えているのではなく、とりあえずゼレンスキー氏から何か感触を得て、『次もしプーチン氏と会うならこういう風に出よう』と考える。出たとこ勝負がトランプ流の交渉で、最後の停戦目標までは、どのような道を通るかバラバラだ」と考察する。

 米ロ会談の結果については、「『合意がなかった』とは言ったが、失敗したとは思っていない。アラスカまで来て、レッドカーペットを敷いて、大統領専用車に乗せても合意できなかった。負けは負けだが、負けとは認めたくないから、『合意に至らなかった』と表現するのがアメリカ側の演出だ」と分析する。

■今後の動きは?
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