マンションポエムに潜む「。」「を」のヒミツとは?
大山氏によると、マンションポエムの歴史上の転換点は1997年だったという。消費税が5%に引き上げられ、山一證券が自主廃業するなど日本列島が大きく揺らいだ年である。
「1997年、『センチュリーパークタワー』が隅田川の河口の(中央区)佃にあり、コピーが『中心を住む。』。『住む。』と最後に『。』がつくところが画期的」(大山顕氏、以下同)
当時の三井不動産が手掛けた「センチュリーパークタワー」(1997年築)。「中心を住む。」という一見、短いコピーだが、のちにマンションポエムの王道となる2つの要素を含んでいる。
「中心を住む。」の句点を読み上げることはないが、マンションポエムにはあえて句点の「。」が多用されている。
「日本で一番有名な文章でもないのに最後に『。』がつくのは『モーニング娘。』で、奇しくも名前が付けられたのは1997年」「日本語の中に『。』が入ると、購買プロセスの導入部分で気を引くのではないか」
また「中心を住む。」の助詞にはあえて「を」が付けられていると説明する。
「マンションを買うことはどこに住むかを選ぶこと。『を』はものを対象化する。環境の中に自分が行くのではなく、街を対象物にして自分のコントロール下に置く」
住む場所を「自分が選びとる」というニュアンスを出すために、助詞の「を」を使うのだという。
マンションポエムの“変化”とは
