“グレーゾーン”での大きな課題は

寄り添うために寄り添わない
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 グレーゾーンで判別がつきにくいパターン。本人も周りもどうしていけば…というのは大きな課題になるのか。木村氏はこう述べる。

「子どもたちがまず最初にできる社会は家庭。家庭が自分自身の価値観の中心になってくる。そうすると、そこを疑うのはすごく難しい。これが当たり前だよと言われてしまっているので、まずそれは当たり前だという認識をしてしまう。その結果間違っていると疑いづらい。さらに、子どもたちはお母さんたちが大好きなので、そうなってくると疑いたくない気持ちもある。周りに相談したら自分の親が否定されるかもしれない。否定されたいわけではないので、周りにも相談しづらくなって自分自身で抱え込んでしまう」(木村氏)

 奥村氏はネットの掲示板という居場所を作る上で、「寄り添うために、寄り添わない」マインドを意識しているという。

「オンラインのコミュニティをやっているが、返信はあえてしないような作りになっている。オンラインコミュニティの中だと、繋がりすぎてしまうことで毒が渦巻きすぎることもあるので、ある程度の距離感を置いている。支援というものを目の前にすると『自分はそこまでじゃない』と引いてしまう子のためにも、あまり支援らしくしないのをコンセプトに寄り添わない」(奥村氏)

 木村氏は「コメント返しがないのは大切なこと」だと見解を述べる。

「いろいろな言葉が飛んできてしまうこともあるし、距離が近くなりすぎてしまうとお互いに依存関係になってしまって、誰も見えない空間の中で良くない影響を受けることもある。そういった意味で、この寄り添いすぎないというのは大事なこと。もちろん、ネットの中に自分自身が頼れる場所があるのはすごく大切なこと。安心できる場所がないよりある方が絶対いいので、そこがネットの中に1個あるというのは非常に重要なことでありつつも、やはり現実社会の中にも人とのコミュニケーションをできれば持ってほしい」(木村氏)

奥村氏が語るこの先の目標
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