■“2040年に再エネ比率4〜5割”目標は妥当?

 資源エネルギー庁は、総発電電力量を2023年度実績の0.99兆kWhから2040年度に1.1〜1.2兆kWh程度に、そのうち再エネの比率を22.9%から4〜5割(太陽光は23〜29%)程度まで上げる見通しを立てている。

日本の電力構成 現状と見通し
拡大する

 鈴木氏は、自然エネルギーは「非常に発電効率の低いエネルギーだ」と指摘する。「同じ出力を出すために、太陽光発電所は火力発電所の数百倍の面積がいる。パネルに使われるシリコン製造に大量の化石エネルギーを使い、またその多くが中国から輸送されるため、火力発電所10年分ぐらいのCO2はすでに使っている。さらに15年ぐらい経つと、太陽光パネルは効率的に発電できなくなり、差分を取ったらあまり変わらない」との見方を示す。

 これに柴山氏は、「太陽光発電のデメリットを率直に認めた上で、それをどうなくしていくか。高価かもしれないが、既存の建物や地方公共団体の施設、道路や鉄道の軌道の脇に設置するといった、環境負荷が少ない方法が主流になってくると思う。ため池の上に設置する工夫をしている所や、農業生産と両立させるソーラーシェアリングの取り組みをしている事例もある」と返した。

 その上で、エネルギー政策におけるトータルバランスを考えるべきだと強調。「再生可能エネルギーが増えれば原発を使わないで済むのか、火力発電はどれだけ下がっていくのか。第7次エネルギー基本計画で、2040年の原発の割合は20%としているが、今再稼働を求めているすべての原発が動いてそれぐらいになる。その時にはまた新しい原発ができてくるかもしれないが、使用済み核燃料をどうするかという別の問題も出てくる」と語った。

 2012年の民主党政権時代、再エネで発電した電気を電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する「固定価格買取(FIT)制度」が導入された。費用の一部は利用者が賦課金という形で負担し、2025年度は1kWあたり3.98円、一般的な家庭(月400kW)で月1592円となる。

 柴山氏は「開始時はあまりにも事業者寄りで、太陽光の買取価格は1kWh40円超という破格の値段。これで全国的にバブルが起きてしまった。ただ、我々が政権復帰した後は買取価格を下げ、“おいしいビジネス”ではないようにしてきた。再エネ賦課金もこれから下がってくる」と説明。さらに、認定されてから事業開始までのタイムスパンが長いという問題をあげ、「真面目に事業をやる見込みがない場合は認定を取り消し、低い価格で取り直してもらうということを議連で進めてきた。残念ながらその対象ではない所もあるのは問題だと思っている」とした。

■メガソーラーで“増災”?「“事前減災”のシミュレーションを」
この記事の写真をみる(6枚)