■「結局は『成果と処遇を一致させよう』という話」

安田雅彦氏
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 株式会社We Are The People代表の安田雅彦氏は、様々な企業で社員のパフォーマンス向上に取り組んできた。その経験から「結局は『成果と処遇を一致させよう』という話だ。やった人がそれなりに処遇されれば、『明日も頑張ろう』という気持ちになる。『リストラされるかも』と思うよりもフェアではないか」と語る。

 うまく行った事例はあるのか。「基本的にグローバルカンパニーはそうだ。ビジネスが好調でも不調でも、成果に貢献している人や、していない人はいる。それをきちんと特定して、それなりの処遇にすることが、安定成長を続ける組織には、基本的な考えとしてある」。

 危機感の持たせ方として、安田氏はPIP(パフォーマンス・インプルーブメント・プラン)によるコミュニケーションを示す。1年目には、期待と現実のギャップを示し、「低業績者」であることを自覚させた上で、どうしたら来年の業績を上げられるか尋ねる。2年目は目標に対する振り返りやフィードバックを行い、3年ほどで改善が見られなかった場合、初めて退職の話をするという。

 この考え方に至るには、これまでの経験がある。「日本の会社で10年、外資系で20年人事をやったが、海外では『成績が悪いと切られる』印象がある。アメリカでは随意契約でクビにできる。日本ではそれができないため、パフォーマンスが低いとわかった時点で、強みや弱みを確認し、2年目に『去年これやると言ったよね。頑張ろう』と励まし、3年目に『互いのために道を分かれた方がいい』と伝える。『この会社ではパフォーマンスをあげられない』とハッキリ言うことが大事だが、日本企業はそれを言わない」。

■「ルールをきちんと守れば解雇はしない」
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