■「ルールをきちんと守れば解雇はしない」
一方で、安心感はパフォーマンスに結びつくと考える経営者もいる。パプアニューギニア海産の武藤北斗代表は「NOリストラ宣言」を打ち出している。「ルールを守れば解雇しない」ことを前提に置き、安心して働く(解雇されない安心感こそ会社が従業員に感じてもらうもの)、排除の気持ちを諦める(従業員同士の解雇誘導などがなくなる)といった考えのもとで社員と向き合う。なお、ルールを守らない・人を傷つける人は対象外だ。
背景には「一部のトップを育てようとしていない」点がある。「スポーツ選手は、自分で危機感を持つような状況にしている。企業が危機感を持たせるのではなく、逆に安心感を与えることで、個人が危機感を持つ状況を求めている。『解雇しないから何でもいい』ではなく、『安心して働けるのだから、きちんと働こうよ』と伝える方がプラスになる」。
そして、「ルールをきちんと守れば解雇はしない。いろいろな人がいるため、“その人の最大限の力”を発揮するにはどうしたらいいかを考えるのが、経営者である私の仕事だ」と語る。「現場の意見を理解するには、現場をわかっている人が聞かないと意味がない。現場から離れた人が人事権を持ちすぎると、その差が生まれてしまう。うちは小さな水産工場で、僕は毎日ちゃんと現場に入り、現場の話を理解した上で、厳しいことも含めてアドバイスすることを大切にしている」。
■「日本企業は人事部が強すぎる」
