■資金難の現状
そんな業績を残す水沢VLBI観測所だが、資金難に見舞われている。背景には、そもそも国立天文台全体で、国からの「運営費交付金」が減少していることがある。その上で、天文台本部からの予算も、優先度の高いプロジェクトや施設に回される。加えて、電気代の高騰(望遠鏡など大型設備の運用には膨大な電力が必要)や人件費の上昇、為替レートの影響などがあり、10年で予算は半減となった(2015年の約4億円から、2025年は約2億円へ)。
本間氏によると、「国立天文台だけでなく、日本の基礎科学が厳しい問題に直面している。国からの運営費交付金が、少しずつ減っている。最終的に10年で半分になり、どうしようもない状態だ」という。
対応策としては「自動化により人員を減らしたり、メンテナンスを飛ばしたりしている。車でいう“車検”のように、アンテナも安全性に問題ないか確認しないと、時に止まってしまうこともある。それらをスキップすることで、予算を浮かしている」のだそうだ。
予算削減によって、人員面では「任期付きのポジションから減らすことになる。若手の研究者は、3年や5年契約なことも多いため、人員削減により若手が生き残れないのは大きな問題だ」といった懸念も抱えている。
■「予想もしない形で、きっと役に立てることがある」
