■「予想もしない形で、きっと役に立てることがある」

選択と集中の是非
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 そんななか、生き延びるための取り組みも行われている。財源の多様化で若手研究者を確保すべく、2022年にはクラウドファンディングに挑戦した(目標1000万円→結果3000万円超え)。また、企業と連携し、研究者を雇用してもらうことで、会社員として働きながら、研究者キャリアも継続するスタイルを模索している。世界と闘うための知恵やアイデア勝負として、予算のかかるハード面ではなく、ソフトウェア開発なども手がける。

 クラウドファンディングで集めた資金の使途は、「半額程度を使って若手を雇い、ポジションが減った分を取り返そうとしている。いまは1人、この資金で雇用している研究者がいる」としつつ、「資金調達の見通しが立たず、やはり難しい。国だけに頼らず、各方面から資金を取るのが1つの解だろう」と説明する。

 国の財政方針について、本間氏は「何がどう発展するか読めない基礎研究に、“選択と集中”はなじみづらい。科学を大きく発展させる大発見の芽は、いつ出るか予想できない。“選択と集中”では、どうしても結果が出やすいと予想されるものに偏る」と指摘する。

 基本姿勢としては「僕らは好奇心で研究していて、何か利益につなげようとはしていない」と語る。「知ってもらうことが大事だ。天文学のおもしろさや、基礎科学の重要性を知ってもらえば、予想もしない形で、きっと役に立てることがある」。

(『ABEMA Prime』より)

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