スーパーでのコメ価格
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■「令和の米騒動」政府は何ができたのか

 先月から新米の販売がスタートし、銘柄米5キロの平均価格は4272円。有名ブランド米であれば6000円台や7000円台後半で流通している。一方で価格が抑えられた備蓄米は発送の遅れもあり、8月末に期限を迎えた30万トンの中、10万トン程度しか売れていない。全体では5キロ3700キロ前後で推移している現状をどう見るか。鈴木氏は「ブランド米で高いものでも売れている事実がある。生産者の立場からすれば、やはり消費者価格で5キロ3500円ぐらいないと、日本全体のコメ生産を支えるのは難しいのではないか」と語る。

 鈴木氏は、2024年の「令和の米騒動」当時に農水副大臣を務めていた時の反省を込めて、備蓄米放出のタイミングは遅かったと振り返る。「去年の夏の段階で、業務用の安い価格帯向けに備蓄米の放出ができないかと検討はしていた。結果として実際に出すところまで行かず、米価の急激な高騰を招いたことは、本当に真摯に反省している。去年の春先から、安い価格でコメが手に入らなくなっていた。だから外食大手は輸入に踏み切った。そこを備蓄米で埋めてあげれば、一般消費者に回るコメの圧力が減り、これほど米価が跳ね上がることはなかったのではないか。あの時点で備蓄米を出せなかったのは国のミスだ」。

 小泉農水大臣となり、随意契約による備蓄米放出がスタート。さらに「備蓄米の販売価格を5キロ2000円に」というメッセージを発信しインパクトを与えたが、これには生産現場の動揺も走った。鈴木氏は「生産者目線で言うと、2000円という価格を見てしまうと、かなり大規模な農家ならまだしも普通の規模の農家からすれば、とても再生産可能な価格ではない。みなさんが大変不安になったという意味では、メリット・デメリットがあった」と指摘した。

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