■コメ農家の高齢化→減少 その先は

コメ農家の年齢構成
拡大する

 政府がコメ増産に方針転換を打ち出したこと以上に、コメ生産の現場は市場の動きをメッセージとして受け取り、既に動き出している。小泉農水大臣は7月、2025年産の主食用米の作付けは、前年比56万トン増の735万トンの見込みになると明らかにした。鈴木氏は「コメが難しいのは、『明日作ってね』と言われても明日から増産できず、マーケットメカニズムとして1年ちょっと遅れて働いてくる」と、2024年からコメの不足と価格高騰が見られ始めたことを受けて、現場独自の判断でも増産傾向にあったと分析する。

 今後、さらにコメの増産を進めるに当たり、ぶつかるのは農家の高齢化や加速度的に進む減少だ。データでは、個人のコメ農家は約9割が60歳以上とも言われている。また数も40年前と比較すれば4分の1程度にあたる約70万だ。さらに規模を見ても、2ヘクタール未満という小規模農家が全体の約81%を占めている。

 Uターン就職でコメ農家となり、利益率30%の「稼げる農家」として注目されている徳本修一氏は、日本のコメ農家が変わる時だと語る。「まさに今、日本の水田農業が過渡期に来ている。2ヘクタールの田んぼを1人や2人でやっているところもあるが、僕らは105ヘクタールを3人で回している。田植えをやめて、”乾田直播” 水を張ってない田んぼに種をまく稲作方法にしたり、いろいろなテクノロジーを使っているからだ。今、高齢化で農家が辞めることは、中長期で見たら産業としては成長するチャンスだ」。

■コメ農家が多すぎる?
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