■止まらない少子化…大学の生き残り策は?

少子化なのに大学は最多
拡大する

 西岡氏は「大学に対して何を求めているかだ。経済学部で学んでも、お金に詳しいわけではない。それならば、コスメティックサイエンス学環で化粧品を学んだ方が、“手に職”をつけて社会で活躍できる人材になる」と指摘する。

 しかしながら「大学が専門学校的になっている」といった声もある。小西氏はウェルビーイング学部を例に、「どんな仕事をしていても、『どうすれば人の幸せに結びつくか』と思う。『法学部に行ったら法律を学ぶ』ということではなく、どの学部の人でも学べる。横断型で小さく、みんなが副専攻として取る形も考えられる」とする。

 西岡氏は先日、恐竜学部を訪れたという。「教授は意外にも『恐竜に詳しいやつは要らない。逆に落としている』と言っていた。恐竜『を』学ぶのではなく、恐竜『で』学ぶ。地政学や地質学など、恐竜を起点にいろいろなことを学んでいる」。

 コスメティックサイエンス学環でも、同じことを言っていたという。「『体内に化学物質を取り入れる』ことで言えば、コスメだけでなく食料品も同じだ。全方位的に学ぶなら、4年間は必要になる」。

 では今後、大学はどうなるのか。小西氏は「進学率の上昇と、子どもの数の低下は、あと数年は相殺されるが、その後は減る一方で深刻な状況にある」との現状を明かす。

 西岡氏が「日本は少子高齢化が進んでいるが、大学側は留学生に入ってもらおうとする傾向がある。外国からの受け入れは考えているか」と聞くと、小西氏は「すごく考えている」と答えた。「構想中の国際データサイエンス学部では、日本国内と海外で、全く同じレベルの通信教育をやろうとしている」。

 西岡氏によると、「社会人になった後、辞めて恐竜学部で学び直している人もいるらしい」とのことだ。小西氏は「社会人は、これからの大学にとって、大きなマーケットだ。いつでもどこでも通えるようになれば、社会人は入りやすくなるため、増やしていくのが潮流になるだろう」と返す。

 それでも大学経営には、大きな課題が残る。柳瀬氏は「お金の問題で進学を断念する人が多い。とくに私立大学では奨学金がないと苦しいが、サポートが遅れている」といった金銭面に加えて、行政的な部分にも触れる。「日本には“カレッジタウン”が存在しない。早稲田や京都は、たまたま狭くて混ざっているだけだ。アメリカでは、小さな大学でも街と一体化している」。

 そこには「教員も学生も街の責務を負っていて、その代わり、街も大学が大好きだ」という構図がある。しかし、「日本の大学は、街の中心地から外へ移転したため、街にならない。結果的に自分のキャンパスが好きでなく、二度と戻ってこない」として、「そのエリアで一番偏差値が高い人が集まっていても、逃がしてしまっている。『若者が来ない』と言うなら、カレッジタウンを積極的に作り、受け入れをサポートすればWin-Winではないか」と提言した。
(『ABEMA Prime』より)
 

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