■日本は規制で出遅れ? “騙されない”ためには
ダークパターン対策として、欧米では法整備が進んでいる。EUでは2024年、「デジタルサービス法」が全面施行され、消費者を欺くサイトの設計自体が禁止された。米国では「連邦取引委員会法(FTC法)」で、不公正または欺瞞的な行為・慣行を幅広く禁じている。一方、日本ではダークパターン全体を包括的に禁じる法律はない。
石村氏は「欧米では当局に裁量が与えられていて、法律としては包括的な条文になっている。FTCの条文はふんわりとしており、あとは消費者目線で被害が大きいものを、当局の裁量で取り締まっている。ケース・バイ・ケースで当局が線引きする柔軟さが特徴だ」と説明する。
消費者問題に詳しく、被害の相談も受ける「なにわ総合法律事務所」の吉岡康博弁護士は、「手法が多岐で包括的に網にかけるのは難しく、個別に見ていくしかない」としつつ、「特定商取引法」や「景品表示法」などで対応し、消費者庁が業務改善や停止の処分を下せるケースもあると語る。関係省庁が協力し法改正すべきだが、実効性に限界もあると考えており、例えば「在庫残り●点」と表示していた場合、実際の在庫を確認することは困難だという事例を示す。
石村氏が所属する一般社団法人「ダークパターン対策協会」では、これまで企業に求められるガイドラインの公表(政府と連携し作成)や、通報窓口の設置などの取り組みを行ってきた。また10月からは、誠実なサイトを認定する制度の運用を開始する。企業からの申請を受け付け、企業が自己審査し、協会などの審査(有料)を経て、認定される。認定サイトに認定マークを付与(1年更新)するほか、認定企業名も公開される。
認定にあたっては、画面ごとに審査の範囲が定められるという。「例えば、購入前の最終確認画面には、認定マークと『最終確認画面について認定している』というアイコンを付ける。訪問者の閲覧履歴を収集して、興味関心に合わせた広告を出すCookie(クッキー)の取得同意バナーでも、『同意ボタンしかない』『拒否しても裏で情報が取られ続けている』といったダークパターンが横行している。これも審査対象だ」。
また、自身で気をつける必要もあるという。石村氏は「消費者庁が公表する事例集などでダークパターンについて知る」「購入前に一度立ち止まり冷静に」「支払額、契約期間、解約の条件や方法など、最終確認画面をよく確認(スクショで保存も)」「サイトの評判を事前に確認」「もしトラブルになれば消費生活センターへ」といった点をアドバイスした。(『ABEMA Prime』より)
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