第3代Krushクルーザー級王者で日本人重量級の雄である谷川が、初参戦ながら欧州のキック団体「Enfusion」で活躍する攻撃的ファイターのゼイディを迎えた一戦。
第1ラウンド、谷川は序盤からジャブと右ローで距離を取りつつ、左フックを打ち込むアグレッシブな立ち上がりを見せる。ゼイディも大きな体でテンポよく前に出て、左右のパンチで応戦。緊迫感あふれる序盤となる。谷川はカーフやローを積極的に当て、相手の動きを削りにかかるが、ゼイディの高速バックハンドブローから間髪入れずに右ストレートがクリーンヒット。谷川は最初のダウンを喫する。
第2ラウンド、谷川は引き続きカーフで足元からの崩しを狙うが、ゼイディはコンパクトなパンチのカウンターで応戦。谷川は後ろ回し蹴りや徹底的なロー攻撃で攻め続けるものの、飛びヒザやバックブローといったトリッキーな攻めに阻まれ、なかなか決定打に結びつかない。必死に挽回を狙う谷川に対し、ゼイディは手数を出しつつ粘り強いディフェンスとカウンターでこのラウンドを終える。
決着は最終3ラウンド、前に出るしかない谷川は圧を強め、右ストレートやフック、さらにハイキックを放ちKOを狙う。ラウンド中盤、ゼイディは冷静に右ボディストレートの連打で押し返すと、高速バックハンドブロー。強烈な“2発目”が谷川を捉えると、ガードごと弾き飛ばされた谷川の体が宙を舞うようにふわりと浮き、前方にダイブするようにして崩れ落ちた。
スタミナ切れで手数が減りつつある両者だったが、ゼイディが放った渾身の一撃にファンも「スピニングダウン!」「ガードの上から効かされたか?」「上手いバックブロー」と驚きの声。
なんとか立ち上がり戦う意思を示そうとした谷川だったが、ファイティングポーズが取れず。ダメージの大きさを見たレフェリーが試合をストップした。ABEMA解説の佐藤嘉洋も「この階級になると(ガードしても)見えてないと効いてしまう」とやや諦めにも近いコメント。
その言葉どおり、スロー映像では谷川のグローブガードが高速バックブローの衝撃で無力化され、体が45度回転しながら90キロの巨体が宙に舞う驚きのKOシーン。前方にダイブするようにマットに崩れ落ちる衝撃のフィニッシュが“モロッコのハリケーン”の異名を物語っていた。


