■家庭科は学校で教えるべきか あおちゃんぺ「それは恵まれた側の意見」

 では、家庭科は学校で教えるべきなのか。ギャルタレントのあおちゃんぺは「それは家庭環境に恵まれた側の意見だ」と反論する。「そういうことを教えてくれる家族がみんなにいるわけではないし、料理が得意ではないお母さん・お父さんだっているし、経済に明るくない親もいる。私も父子家庭で、家庭科がなかったら今ここにいないと思うので、学校で教えるのは絶対に必要だ」。

これも教員の仕事?
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 梶原氏も「家庭で家庭科を教えることは限界に来ている」と述べる。「家庭崩壊」という言葉が登場して久しいことや、一人暮らしやシングルマザー・ファザー家庭の増加により、家庭で十分な教育が行き届かない現状を指摘。その上で、「家庭科で高齢者福祉のことも教えるが、家政学部食物学科出身の私には、全くわからない。年金も教えると言っても、自分の年金のこと、あるいは税金のことすらわからない教員もいる。それらを教えるために一から勉強するというのは、やはり限界を超えている。社会に生まれた困りごと・問題をどの教科でやるかという時に、文科省が全て家庭科に入れてしまった」と、家庭科の守備範囲が広がった要因をあげた。

 鈴木氏は「家の中だとその生活でしか感じ取れないことが、学校で友達といろいろ話したりして多様な価値に触れていくという、そういうことも学校で家庭科を学ぶ意義がある」とコメント。教員の業務がひっ迫している問題については、「カリキュラムを作るのは専門家に頼ればいいが、教育も専門家が行うというのでは生徒の学びの保障にならない」と難しさを指摘した。

 学習院大学非常勤講師・ZEN大学客員講師で情報社会学が専門の塚越健司氏は、家庭科は“最初の一歩”であればいいとの見方を示した。「マンパワー的にも、お金の面でも限界がある。僕はもう裁縫のことは忘れているが、1回でもやった記憶があるので、大人になった時に“YouTubeで探そう”という気になる。その“一歩”の経験だけでもあれば、若い人は勝手にAIなども活用してやるだろう」。(『ABEMA Prime』より)

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