芸歴20年を目前にして新境地を開拓。ABEMAオリジナルドラマ『MISS KING / ミス・キング』(Netflixでも同時配信)において、逆境に立ち向かうヘビーな役柄に挑んだ俳優・アーティストののんから目が離せない。今年2025年は映画、配信ドラマ、地上波ドラマと大活躍。御本人は「偶然重なっただけ」と謙遜するが、果たしてそうなのか?状況を変えたのは紛れもなくのん本人の強い意志、そして独特な個性にあることは間違いない。水谷豊、『カルメン故郷に帰る』、クレージーキャッツ、ハッスルホイ、矢野顕子、宮本信子…。彼女の揺るぎないアイデンティティのごく一部に触れた以下のインタビューからも、それは伝わってくる。
――『MISS KING / ミス・キング』の主人公で不幸のどん底から這い上がる飛鳥という女性を、どのようなイメージで立体化していきましたか?
その悲しい生い立ちからか、飛鳥はぶっきら棒で振る舞いも荒っぽいです。私としてはその中に秘められている繊細さを表現してみたいと思ったので、最終的に行き着いたイメージは『赤い激流』(1977年)の水谷豊さんでした。
――令和ならではの配信ドラマに、まさか昭和のテレビドラマのDNAが流れていたんですね!そのチョイスの理由は?
飛鳥を演じる上でどのようなアプローチをしようかと考えたときに、昭和の荒っぽい男性像が似合うのではないかと閃きました。しかも堂々と構えているというよりも、傷つきやすい面を併せ持っている人間。そう考えて飛鳥というキャラクターの解釈を深めていく過程で『赤い激流』(1977年)の水谷豊さんに辿り着きました。元々、昭和期の水谷さんも大好き。若き日の水谷さんは荒っぽい振る舞いをしていても繊細さを感じられるところがあって、しかも身体能力が高くて身軽。それを含めて今回の飛鳥というキャラクターに取り込むことが出来たら面白いのではないかと思いました。
『カルメン故郷に帰る』昭和の映画に惹かれる理由

