■夏野剛氏「死刑存続の議論とやり方の問題はあまりリンクしない」
法の専門家同士でも意見が真っ向からぶつかる死刑についての論議。死刑制度そのものについては、過去に3度、最高裁で判決が出され、そのいずれもが合憲とされてきた。水谷氏にすれば「具体的な死刑の在り方という議論がないまま認めてしまった」というものだが、一般社会からは今回の提訴はどう映っているのか。
近畿大学情報学研究所所長・夏野剛氏は「残虐性については絞首刑から薬物や電気イスにしたとしても、それもまた残虐だとして永遠に終わらない話だと思う。死刑そのものがどうかは議論すべきだと思うが、死刑囚の方が言うことによって余計に違う問題を惹起している」と指摘。また「死刑を執行しない方がいいという考えであれば、死刑のやり方について異議を唱えて執行を止めるのは理解を得にくい。もっと本質的な議論をした方が建設的だ。死刑存続の議論とやり方の問題は、あまり一般市民にはリンクしない」とも述べた。
また2ちゃんねる創設者・ひろゆき氏も、今回の裁判が実質的な刑執行の引き延ばしにつながっていることに疑問を呈し、その上で議論するのであれば別のアプローチが必要だと説く。「残虐性の議論自体は(受刑者ではない)自分には関係ないからどうでもいいとなってしまう。もし攻めるのであれば、冤罪事件を持ち出した方がいいと思う。袴田巌さんが冤罪だったが、これは『冤罪でもあなたが死刑になるリスクがある』という話だ。死刑をなくしたいのであれば、誰もが可能性がある冤罪との話にした方が、みんなが乗ってくる可能性がある」と語った。
(『ABEMA Prime』より)

