■迷惑行為、どこからが違法?外国人を罰する難しさも
ジモンさんの動画に犯罪行為はあるのか。駅員の許可なく敷地内でパフォーマンスすると「鉄道営業法違反」に(1000円~1万円未満の罰金)。騒音・バク宙などで乗客に迷惑をかけ、運行を乱したり駅員が対応に追われるおそれがあれば「偽計業務妨害罪」(3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)になる。また、無許可での撮影という正当な理由がなく駅へ侵入すると「建造物侵入罪」(3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金)の可能性がある。
外国人犯罪の法律に詳しいベリーベスト法律事務所の齊田貴士弁護士は「駅構内での許可のない撮影などは認められていない。建造物侵入罪や鉄道営業法違反、偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と解説する。
警察対応については「外国人であっても、犯罪が認知されれば、日本人と相違なく逮捕・処罰するだろう」とする一方で、「国外に出た後は処罰が難しい問題がある」とも話す。「国外には日本の捜査権や裁判権が及ばない。犯罪人引渡し条約を結んでいれば、強制的に連れて来て、日本の法律で裁けるが、アメリカと韓国としか結んでいない」。
多くの場合には、相手国での“代理処罰”になるが、「その国に偽計業務妨害罪の処罰規定があるのか。同一でない規定において、同一の処罰をできる法律があるかが問題だ」と指摘する。
加えて、「法を知らないから、処罰されない」というわけではないと話す。「国によって文化が違うと言っても、違法性がないわけではない。しっかり調べた上で、ルールを守って、正当な範囲内でパフォーマンスすることが重要だ」と呼びかけた。
同じ外国人であっても、ヤバタンさんは「その国のルールやマナーや守るのは当然」と考えている。「路上撮影が多いが、周囲の通行人が映らないように撮影している。カメラも勝手に回さず、『撮影してもいいですか』と許可を取る。それは日本だけでなく、世界共通のルールだ」。
来日当初は「若くてルールもわからなかったが、撮影しなかった。2013年に日本に初めて住み、『動画撮影したい』と思ったが、日本語があまり話せず、文化やルールにも詳しくなかったため、『準備ができていない』と投稿しなかった」のだそうだ。そして「ノルウェーに帰り、日本語学校に通い、日本人の友だちを作り、準備できたと思った時に、ようやく初めて動画を撮った」と明かす。
EXIT・兼近大樹は、「“迷惑”にはグラデーションがあり、どこで線引きするかだ。ジモンさんよりも迷惑な配信者もたくさんいる。正義ヅラして人の情報を出すのはモラル違反のはずだが、みんなが熱狂して追いかける。われわれも人から見れば、『見た目がうるさいし、何しゃべっているかわからない。腹立つ、迷惑だ』と思う人もいるだろう」との考えを示す。
笑下村塾代表のたかまつなな氏は、「電車の中だから嫌がられるのか。これが路上パフォーマンスなら応援するのか。大道芸ならいいか、漫才ならいいか、など判断が難しいが、こういう人を応援できるくらい、広い心の日本でありたい」と願った。
(『ABEMA Prime』より)

