■自ら求める発信力の向上
林氏は有権者からはメディア露出が多い小泉氏、前回の総裁選では1回目で1位になった高市氏らと比べて、地味な印象を持たれがちだと言われている。今回も実務能力、経験を打ち出すと思われたが、林氏自身はより人気・発信力を高めていくことの必要性を感じている。総理・総裁に必要なものとして「人気というか、正確に言えば説得力。『この人が言っていることなら信じていい』と思ってもらえることだ」と語る。「実務は周りの官房長官などが支える。ただ最後の難しい決断が総理に行く」と、最終的には判断を下す者にこそ必要なものがあるとした。
「林芳正」という政治家を知ってもらうためには、場所を選ばない。総裁候補として発言する映像メディアも地上波、BS、ネット配信などに、大きな差を感じていない、特にネットについては国民民主党、参政党などの躍進を見て思うところもあると話す。「今はやはり双方向。『1億・総放送局』のようになっている。うまく使えば民主主義は発展するが、偽情報・誤情報も多い。健全な言論空間になるといい」と、積極的に活用する意向を明かした。
会見で明かした「林プラン」は3項目。1つ目は「1%程度の実質賃金情報の定着」とし、国民所得と経済生産性の向上による成長と分配の好循環を目指す。2つ目は「2040年代に向け持続可能な社会保障」で、強靭な経済を構築するための工程表作成と推進をする。そして3つ目は先述の「党改革~ゼロからの再建」だ。他候補からは、さらにエッジを立てた発言、政策が打ち出されている可能性もあるが、林氏はそれに乗らない。「できないことを言って、もしできなかった時には失望が高まる」と、堅実に進める姿勢は崩さなかった。
■GDPよりも大事な「幸福感」
