■「精神障害があるから、無罪や減刑されるわけではない」
心神喪失となった場合、その後はどうなるのだろうか。「日本では医療観察法により、検察官が『強制的に医療を受けさせるべき』と申立てる。その後、裁判は行われないが、裁判所で“審判”が行われ、『病気のせいで行ったのだから、強制的に治療を受けさせなければならない』と判断する。多くは入院となるが、専門施設で治療する人が多い」。
治療後については「ほぼ全員退院する。『どう見ても心神喪失』と言えるほど重い精神障害でも、病状が良くなる人がほとんど。入院が長期化する人も一部いるが、多くは社会復帰できる。回復すると『どうしてこの人が』と思うほど、穏やかで静かだ。治療さえきちんとしていれば、見てもわからないだろう」と説明する。
その一方で、「精神障害があるからと言って、無罪や減刑されるわけではない。極めて重い一部だけが対象になり、精神障害を持っていても、大多数は『責任能力がある』として、普通に裁かれる」とも話す。
そして、“責任能力”について「乱暴な説明ではあるが」としたうえで次のように説明する。「幼稚園児が火遊びで家を燃やして、人が死んでしまった場合、『厳罰に処せ』と言う人はあまりいないだろう。『幼稚園児では罪に問えないから、その子が大人になったら刑務所に入れろ』と言う人もいない。心神喪失状態の人をよく見る立場からすると、『厳罰に処せ』と言うのは『幼稚園児を刑務所に入れろ』と同じくらい、意味をなさないような感覚がある」。
■再犯率は?
