■再犯率は?
治療の効果は、どの程度出ているのか。国立精神・神経医療研究センターによると、医療観察法の対象者の再犯率は、2005年~2020年までに通院処遇が終了した全通院処遇対象者2568名のうち、「重大な再他害行為」は17名(0.7%)だった。
重大な犯罪につながる前に、医療につなげることはできないのだろうか。賀古氏は「心神喪失になる精神障害は、8割方が統合失調症だ。心の病ではなく脳や体の病気で、本人には責任がない。10〜20代の若さで発病することが多いが、だいたい人口の1%弱に平等に起きる」と解説する。
統合失調症の場合は、「脳に障害が起きるため、『自分は病気らしい』と理解できなくなる。自力で病院へ来る人もいるが、自覚できずこじらせることも多い。学習指導要領が変わり『高校生にも精神障害を教えよう』となったが、啓発が非常に大事だ」という。
とはいえ、再犯率が0.7%であっても、完全なるゼロとは言えない。「厳罰として刑務所に入っても、出所後に再犯率が桁違いに高くなる現実もある。あくまで相対的なもので、どちらもゼロではない以上は胸を張れない」。
(『ABEMA Prime』より)
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