では、この価値観が、どのようにトランプ氏に関係するのか。「トランプ氏はディールが大好きで、今も『関税をよこせ』となっているが、アメリカ人の損得勘定を理解すると、なぜディールを求めてくるのかわかる」。

 中丸氏によると、「敵対国にも友好国にも厳しいのは、アメリカ人の金銭感覚がある。トランプ関税は基本一律10%に、相互関税として15%以上を上乗せする。日米同盟についてトランプ氏は『日本の交渉者は天才的だ』と言った。アメリカは有事になれば日本を守るが、日本はアメリカを守らない」

  「日本からすれば『在日米軍がいて、基地を提供している』『そもそもアメリカがアジアで存在感を示すために日米同盟があるのでは』として、全然不平等ではないという考え方があるが、トランプ氏は考えるスパンが短い。『自分の任期の4年でどうなるか』サービスしている分、国を守っている分は関税や投資で返して欲しい」と短いスパンで考える発想で、一期一会的だという。

 トランプ氏は「アメリカは外国から搾取され続けてきたが、相互関税によって解放される」と発言している。「アメリカのための同盟でも、トランプ氏は金銭的な信頼関係を感じられない。1対1の相互関税により、金銭で取り戻す。それによってバランスがとれる、これがチップに通じるトランプ氏の損得勘定だといえる」(中丸氏)。

 中丸氏は「トランプ氏の任期中にも、相互関税によるインフレが進み、消費者に負担がかかるなど、アメリカにとって良くないことが起きるのではないか」と予想している。「しかし、トランプ氏はそのスパンで考えていない。まずは“アメリカの強さ”を関税で返してほしいという発想になっていて、そこが今後のポイントになってくる。10〜20年でアメリカを衰退させるのではという指摘もある」と解説した。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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