■なぜここまで連立に慎重なのか
このままで行けば、国民民主党は自民党とも、他の野党とも連立を組まず、政権を握ることもない。当然“玉木総理”が誕生することもない。なぜここまで慎重になるのか。
玉木氏 「やはりいろいろ裏切られた経緯もあるので、1個1個固めていきたい。過去にも例がある。岸田内閣の時、約束をしてくれたことで本予算に野党にもかかわらず賛成をした。野党が本予算に賛成するということは、ある意味もう政権に入ったも同じような行為でめちゃくちゃに批判されたが、それでも賭けてやった。それなのに(国民民主党が求める政策を)やらなかった。別に連立から逃げているわけではなく、党の代表として同じ失敗はできない。過去の経験も踏まえて確認するしかないし、もし失敗したら私はクビというか、もうやっていられない。こちらにも抱えているものがある」
周囲からは、どの党がどの党と連携を強めるかに関心・注目するのに対し、玉木氏は多党時代に突入している今、新たな政治のルールを構築すべき時期に来ていると訴える。
玉木氏 「連立に入らなくても政策実現する方法はあるし、連立を組んでも(過半数)ぎりぎり。丁寧に野党の意見を聞くのが、この多党制時代の新しい政治のお作法、ルールだと思う。ヨーロッパだと、政権構想や連立交渉を3カ月、4カ月とかけてやるところもある。今は、いろいろなルールをこれから新しく決めていく過渡期。大切なのは、これだけ多党化して政党が増えたということは、国民の考え方も多様になっているということ。2つや3つの政党だけでは受けきれなくなっている民意を、どうやって丁寧に政策に反映させるのか。与野党の努力と工夫が必要だと思う」。
財務省官僚時代、自民党と公明党の2党と話し、それが国会で法案が通るところを見てきた玉木氏にとっても、これからの多党時代はより複雑さが増すからこそ、新たなルールづくりが必須だと訴える。
玉木氏 「民意を反映すること、それを集約すること、この2つのバランスを取るのが政治はすごく大事。(官僚からすれば)今までなら自民党と公明党だけ押さえれば、野党は無視。説明先も(過半数を持つ)2つの党でよかったし、あとは国会で多数決で決まるので、決定権は事実上国会の外にあったようなものだった。だが今はこれだけ党が増え、国会内でも修正されるし、いろいろな新しいことが起こるようにもなった。その多党制時代に、新たな政策決定や政治の進め方のルールと作法を新しく作る段階に来ている。たとえば与野党はあるけれど、100日間は共通のテーマをしっかり進めて、その間は解散しないとか、不信任案を出さないとか。法律に書いてあるわけではないけれど、慣習的に共通な課題を解決するルールを作るべきで、その新しいルール作りに国民民主党はしっかり役割を果たしたい」。
(『ABEMA Prime』より)

