■法改正で課題解決には追い風

日本の高齢者
拡大する

 政府も対応は進めた。10月から改正された「住宅セーフティネット法」は、貸し手側のデメリットが軽減されたものだと山本氏は説明する。「今回の改正のポイントは4つあるが、不動産会社からすると大きく変わったのは、残置物の処理と、終身建物賃借の利用促進。入居者が亡くなった場合、部屋の中のものは相続されるが、賃貸借契約も財産権なので相続される。相続人がすぐに見つからないこともあり、探しても了承を取るまで3年かかるようなこともあるため、これがネックとなり貸せなかった」。

 今回の法改正により、この2つの課題が軽減された。「1代限りの終身で(賃貸契約を)解約できるし、残置物を第三者が捨てられるようになった。時が来たら捨てるという期間がだいぶ短縮されたので、大家さんの負担もかなり減った。条件はいくつかあるが、入居者さんと生前に契約しておけば、物を捨てやすいし契約も切りやすくなった」。

 高齢者に貸す上で、貸し手からすれば「孤独死」の問題は大きかった。ただ2021年に国交省が「孤独死は事故物件にあたらない」と見解を出したことは追い風にもなった。「今まで自然死で亡くなられた場合、事故かどうか定義がなかったが、2021年になってやっと国交省が自然死は事故死ではないと出した」。貸し手からしても、事故物件になってしまうリスクが減ったことは重要だ。

 ただし、自然死の場合でも発見に時間がかかってしまうと、やはり事故物件に該当してしまう。割高な特別清掃が必要になり、募集の際もおおむね3年は告知義務が発生する。また、隣室住民が転居してしまうケースもあり、迅速に発見する必要はある。

 様々なリスクはあれど、山本氏は今や学生に貸すよりも、市場としては高齢者の方が大きいと語る。「不動産業界全体が、65歳以上の方に対して賃貸しないと成り立たなくなっている。大学生は260万人ほどだが、全て賃貸ではなく実家暮らしもいる。高齢者は約3600万人いて、5人に1人が賃貸だとも言われる。前期高齢者だけでも13%が賃貸なので、学生の2倍、3倍といったマーケットがある」と、さらに大きな市場になると述べていた。
(『ABEMA Prime』より)
 

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