■担い手の確保が大きな課題に
能楽は「能」と「狂言」を合わせたもので、室町時代に大成した舞台芸術。能は歌と舞で構成され、主役は面を被り、演奏隊(囃子方=はやしかた)がいる。「日本のミュージカル」とも表現される。時間について60分から120分ほどだ。また狂言はセリフを中心とした喜劇で、漫才やコントに近いもので、20~30分。もともと狂言は、能の合間に演じられる幕間劇だった。
若者の担い手不足に悩む中、「仕事」として考えた場合、どの程度の収入が見込めるものなのか。狂言師の野村万之丞氏は「人によって差はあるが、ものすごく儲かっている人はいない。国からたくさん(補助金として)お金をもらっていそうなイメージも持たれがちだが、そんなこともない。自分で公演を主催すれば赤字になることもあるので、チケットも頑張って売る。自分の芸に精進するだけではなく、ビジネスとしてどうお金にしていくかは、みなさん考えている」と述べた。
また、能楽師で小鼓方(こづづみかた)の上田敦史氏は、より具体的な金額をあげた。「(活動が)年365日の中で土日や祝日に限られているので、おそらく(一般的に)お勤めの方とそんなに変わらない。私の場合は脚本を書いたり、企画をコンペにあげたりして、企画料や執筆料をいただき、舞台で務めるギャランティー以外の収入も得ている」と説明した。
年齢・経験によっての違いには「私が25歳、この世界に入って数年目の時は(年収)400万円はなかった。そこからだんだん増え、30代後半ぐらいで1000万円以上になることもあった。ただし時代にはすごく左右される。コロナ禍の頃はゼロになった。定年がなく長く続けられる仕事ではあるが、保証もない立場」と付け加えた。
■新作発表、インバウンド客狙いの施策も
