■時代に翻弄された42歳の男性
濱中正敏さん(42)も、不安定な時代に翻弄された1人だ。2003年に専門学校を卒業したが、就職氷河期の影響で内定ゼロ。就職できずに自ら命を絶った同級生もいたという。アルバイトや派遣業を転々と(約20社・月収15万円)して、23歳~28歳までひきこもりを経験。「努力しても報われない。何のために働くのか」との思いが、自尊心の喪失と社会的孤立につながった。そして2023年、能登ひきこもり地域支援センターの支援員になった。
学生時代を振り返り、「当時は、いい大学へ行き、いい会社へ入り、20代で結婚して、子どもを生むというゴールがハッキリしていた。そこからズレると落ちこぼれるという価値観に染まっていた。自分は何十社も落ちたが、何百社落ちた友だちもいる。その度に『社会に必要とされていない』と思えてしまう。大学院を出ても就職先がなく、コンビニのアルバイトしかなかったという友達もいた」と語る。
社会に出てからも「努力しても報われない」との思いは拭えなかった。「雇ってくれた感謝から、アルバイトでもすごく働いた。そんな時に友だちから『ちょっと話せる?』とチャットがあったが、仕事にかまけて無視してしまった。すると翌週、その友だちが亡くなった。『仕事って何だろう』と感じて、悩んだ末に引きこもりになった」。
■「失われた30年」が社会に与えた影響
