26年間、有力な手がかりも情報もほとんどないまま、悟さんは諦めずに活動を続けてきた。容疑者が逃走中の事件の場合、報復を防ぎ、普段の生活を送るために遺族が身元を伏せることが多い中、なぜ自らの名前も顔も公にしてきたのか。

「私が泣いているところを撮ると犯人が喜ぶだけ。犯人は絶対に(報道を)見ると思ったので、当時。絶対に『ざまあみろ』と思われたくないので。訴えるなら本当に顔を出してどんな批判もリスクも負う覚悟でやらないといけないと思うタイプ」(悟さん)

 捜査員とのやり取りについては「今は本当に月に1回ほどのペースでわざわざ来てもらって。会社の当時の古い組織表だとか。『この人を知らないか?』とか」と語った。

 この事件は取材から2ヶ月後、急展開を迎えた。逮捕された安福容疑者は、悟さんの高校時代の同級生というまさかの結末だった。DNA鑑定で一致。犯行については認めているという。

なぜ26年経った今、出頭したのか
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