■「今年の場合は間違いなく餌の不足」
北海道大学大学院獣医学研究院の教授で、クマの生態などを研究してきた坪田敏男氏は、安藤さんの事故について、「4人が次々襲われた残念な事故だった。クマは5歳ぐらいの比較的若いオスで、おそらく自然の山中で、他のオスとの戦いに負けて、間違って札幌市内に出てきた状況だったのだろう」と分析する。
クマが市街地に出没する理由として、「今年の場合は間違いなく餌の不足だ」としつつ、「4年前のケースは、それとは違う」と説明する。「オス社会の中で競争に敗れて、あふれ出てきたのだろう」。
クマ側については、「クマにとっても、間違いなくストレスがかかる。札幌市のど真ん中に出てしまい、おそらく『しまった』と思った。そして、パニックになり、次々と人を襲っていった」と考察する。
では、ここ最近のクマ出没には、どのようなメカニズムがあるのか。「ヒグマやツキノワグマが市街地に出ているのは、間違いなく餌の問題だ。10〜11月は冬眠前で、これから食いだめをして、体脂肪を蓄えないといけない時期になる。その時にドングリを食べるが、今年は北海道や東北でドングリの生育が悪く、特に深刻なのが東北だ」と、餌を求める背景を語る。
■「人の存在を怖いものとして認識させることが必要」
