■「人の存在を怖いものとして認識させることが必要」

人慣れしているクマ
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 坪田氏によると、「クマが情報伝達するのは親子間だけだ。ツキノワグマは1年半、ヒグマは2年半ほど、母と子が一緒に生活する」という。そして、「その間に食事や冬眠などの生きるすべを知るが、その中で『人間の怖さ』も教わるだろう。となると、1頭だけを怖がらせてもダメで、各地域で山の中に入り、人の存在を怖いものとして認識させることが必要だ」と呼びかける。

 そこで重要となるのが、怖がらせる存在を「だれが担うか」だ。「いま必要とされているのは、最終手段としてクマを撃てるような行政側の管理者である“ガバメントハンター”。『住民の命を守る』『うまくクマと共存する』といった考えのもとで、行政にきちんと管理者を配置して、地域の安全を守る人を育てる必要がある」。

 実際に被害にあった立場からは、クマと“共存”できると感じるのか。安藤さんは「このままの頭数では難しい。言い方は悪いが、数をある程度減らして、街中に下りてきたクマは駆除する形にしないと難しいのではないか」とコメントする。

 現状で取れる対策について、坪田氏は「クマは基本的に、慎重で臆病な動物だ。おそらく人間を怖がっているだろう」として、「猟犬やドローン、大声などで山に返すのは、1つのやり方だ」とアドバイスする。

 しかしながら、「気をつけないといけないのは、人里に出たクマは、ストレスでパニックになっていること」と警鐘を鳴らし、「そうなると、人の手ではどうしようもなく、ハンターに駆除してもらうしかない。専門家と一般市民で、『できること』は見極める必要がある」とした。

(『ABEMA Prime』より)

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