もし任意提出を拒まれ続けていたら、どうなったのか。「任意提出を拒まれても、後の捜査で被害者との関係が出て、容疑があれば令状を取る。身体検査令状や鑑定処分許可状を取り、強制的に唾液を取る」。

 世田谷一家殺害事件を例に、「現場に唾液や指紋があった。誰が犯人かはわからないが、犯人資料はある。今回のように誰か容疑者の唾液だとDNAから判明すれば、あの事件もすぐに解決になる」とした。

 実は、安福容疑者の名は、捜査の過程で一度上がっていた。「捜査員も26年間で、10万人投入された。人事異動も退職者もいるが、捜査対象者が5000人もいれば、捜査員が日に何人も『不自然なところはないか』とあたる。素直に唾液を出す人もたくさんいたらしい。その中で、提出しない人を絞っていった」。

26年前と比べてDNA鑑定の精度が上がった背景
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