■「寄り添おうとすると、干渉してしまう」

池上正樹氏
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 内閣府の2022年度「こども・若者の意識と生活に関する調査」によると、ひきこもり状態にある人は、全国に推計約146万人いる(前回調査115万人、15〜64歳推計)。また、「8050問題」と呼ばれる、介護を必要とする80歳超の親と、数十年ひきこもっている50代の子どもがいる家庭の問題も指摘されている。

 当事者や家族を約30年取材してきた「SHIP(シップ)ひきこもりと共生社会を考えるネットワーク」代表理事の池上正樹氏は、「朝美さんのようなケースは珍しくない。父親と子ども、兄弟姉妹、息子夫婦と孫が一家全員ひきこもりの場合もあった」と説明する。

 よくあるパターンとしては、「子どもがなんらかの事情でひきこもったときに、親が『自分の育て方が悪かったのではないか』との罪悪感を抱いて、希死念慮のような形でひきこもる。不登校の場合は、11人に1人の割合で、当事者の母親が『死にたくなる』と答えているデータもある」とする。

 寄り添うよりも、むしろ厳しくした方が、ひきこもり状態から脱しやすいのでは、といった意見もある。しかし、これには「サクセスストーリーで錯覚してしまうが、うまく行っていない方が圧倒的に多い。結果的に命を失うこともある。ひとり一人に寄り添うことが大事で、それぞれの“自分のペース”で一緒に歩いて行くことが大事だ」と返した。

 朝美さんは「『寄り添う』よりも『距離を置いた』。寄り添おうとすると、干渉してしまう」と考えている。「子どもを見張ってしまう時期もあったが、監視は良くない。私がお見舞いから外出を始め、家族会や居場所などで家を空ける時間や、活動量が増えることにより、息子が自分自身で生きられる状況を作れた。私も自立でき、子どもも自分の生き方を考えられるようになった」。

(『ABEMA Prime』より)

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