海外では気軽に手に入る「つわり薬」。日本ではいまだ保険適用外で高額だが、なぜ海外と対応が異なるのだろうか。ハーバード大・医学部准教授と考える。
つわり、妊娠悪阻に使われる薬については、先週、国会の代表質問で取り上げられた。立憲民主党の塩村あやか参院議員は「妊娠中の強い吐き気、つわりに使われる薬のオンダンセトロン等は、海外では妊娠悪阻、つまり、つわりに対して公的保険で広くカバーされているが、日本ではいまだ適用外で、妊婦さんが自費負担を強いられている。総理の掲げる『攻めの予防医療』等には、こうした是正も含まれているのか」と質問。
高市総理大臣は「日本において一部効能が薬事承認されておらず、その使用については保険適用されない適用外薬品や、日本で承認されておらず使用することができない未承認薬品が存在することは承知している。政府としては、学会や患者会の要望などを踏まえて、医療上の必要性の高い医薬品の開発・促進に取り組んでいく」と答弁した。
つわりをめぐる薬事情。日本では、つわりが重症化した「妊娠悪阻」と診断されて初めて、医師の判断で吐き気止めなどが処方される場合がある。ただ、国会でも取り上げられた海外で一般的に処方されている、いわゆる“つわり薬”は日本では承認されていない。そのため「薬を個人で入手した」などの情報がネットに溢れる事態になっている。ただしこの場合は、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる。
産婦人科医の柴田綾子氏は、つわりに関する薬をめぐる日本と海外との差について、次のように話す。
「アメリカではボンジェスタと言うが、日本では販売されていない薬を、薬局やネットで買えて、自身で対応するみたいなこともできている。『ドラッグ・ラグ』といって、海外では使える薬が日本では保険適用されておらず使えないことは、日本では結構な領域で起こっている。データを見ると、なるべく安全な薬が海外でも選ばれているため、海外も日本も差がなく使いたいのが正直なところだ。特に産婦人科でつわりや悪阻の症状がしんどいという話も聞くため、できれば海外で使えている薬を日本でも保険適用で使いたいという思いはすごくある」(淀川キリスト教病院 産婦人科・柴田綾子医長)
日本と圧倒的に違う“つらさ”への向き合い方…医学部准教授が解説
