なかには資金繰りに苦しみ休業、廃業を余儀なくされた人も。八丈島生まれの「アットアイランド」伊藤奨代表理事は、台風被害に遭った事業者の支援を始めた。「わらをもつかむじゃないけれど、手元の資金がショートしてしまいそうだったりとか、今月末、来月末、3か月後生き残れるか、みたいな事業者さんも、50社以上話を聞いているが、かなり厳しい状況の方々もいる」と現状を説明。
伊藤さんが伴走役となり始めたクラウドファンディングは現在7社が参加。2つのプロジェクトで目標を達成した。伊藤さんは「八丈島の経済がこれを機に停滞してしまうことが大きな問題。『本当は続けたいけど、事業を続けられない』といったリアルな声を集めて、一体何に困っているのか、どういうところが足りないのか。実は助けられる人がいるのであればマッチングするとか、そういうことが唯一できるのかなと」と語った。
そんな支援を求めているお店が町中華の「菜々屋」だ。創業27年、ラーメンが自慢の島民に愛されるお店だが、台風で壁がはがれ落ち、屋根もすべて吹き飛びほぼ全壊状態に。店内には厨房機器が散乱。調理台や食器など使えそうなものは運び出したが、ほとんどが使えない状態。建物の修繕と電気工事だけで約1400万円かかるという。
菜々屋2代目店主の土方克哉氏は「(お店に着いたのが)お昼ごろぐらいですかね、たどりついた時には全部なかったので『あぁない!』って、ビックリしましたね。こんなことがあるんだなと思って」と振り返る。罹災証明では「半壊」という判定で思ったより支援金がもらえず、伊藤さんに助けを求めた。現在は335万円の支援金が集まった。
「ゴールがどこにあるのかわからない」と語った土方さんだったが、毎日建物の修復に力を注いでいる。「島の人たちがすごく助けてくれる。毎日誰かしら声をかけてくれる。おにぎりを持ってきてくれたり、弁当を持ってきてくれたり」と語った土方さんについて、伊藤さんは「地域の信頼、愛着があるから力強い応援が集まった」とし、「長距離走だと思うので、得意な人が得意なことを生かして、できる範囲で貢献できるみたいな。そういう場づくりみたいなことも頭に入れてやっていきたい」と再建への思いを語った。
東京都の支援金はおよそ8億円。それだけではとても賄えないのが実情だ。
舛添元都知事「もう少し機動的に動けないか…町議会の意見を」
