【写真・画像】8歳で亡命「昼は中国政府に見つかるから夜に歩いた」チベット難民女性の50年の記憶と逃亡の日々 2枚目
拡大する

 チベット難民キャンプに到着し、近くにあった建物に入ると、そこでは2人の高齢女性が機織りをしていた。シュジュンさん(67歳)は、この仕事を始めて50年という大ベテラン。ここで作られたチベットの伝統織物は、難民キャンプの敷地内にある売店で販売されている。シュジュンは、わずか2歳で難民になったそうだ。

【写真・画像】8歳で亡命「昼は中国政府に見つかるから夜に歩いた」チベット難民女性の50年の記憶と逃亡の日々 3枚目
拡大する

 シュジュンさんと一緒に機織りをしていたロマさん(75歳)は、8歳で亡命。「何日ぐらい歩いたか覚えていますか?」という質問に、ロマさんは「日数はわからないけど、昼は中国政府に見つかるから夜に歩いたわ。ご飯はほとんど食べられなかった」と答え、それを聞いたくるまは「何日も…すげぇ」と険しい表情でつぶやいた。祖国を離れ、60年以上の月日をこの場所で過ごしてきたロマさん。「ここはインドの支援もあって快適よ。行き場所のない私たちを受け入れてくれた」とインド政府への感謝を口にし、現在の生活に満足している様子だった。

 しかし、くるまが「チベットに戻りたいとは思わないんですか?」と尋ねると、ロマさんは「チャンスがあったら戻りたいけど、中国が手放さないから帰れない。国を取り戻せたらね」と祖国への想いを吐露。くるまは「いつか戻れるといいな」と願いつつ、「国が中国に支配されたら、普通に暮らせるわけがない。逃げたくても逃げられなかった人はいっぱいいるでしょうね」とチベットの人々に思いを馳せた。

1日に1回、1時間のみ湧き出る水を汲む男性
この記事の写真をみる(23枚)