【写真・画像】涙の若武者を元王者が「讃えた」 日本一速い男達が“何も語らず”労う光景に「これがヒューマンモータースポーツの真髄」感動呼ぶ 1枚目
【映像】カメラが捉えた沈黙の感動光景
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 鈴鹿で行われた国内最高峰のスーパーフォーミュラの第12戦決勝。激闘の裏で多くのファンの胸を打ったのは、敗れて涙した若手と、彼を労ったベテラン王者の間に生まれた、一瞬の“沈黙の交流”だった。

【映像】カメラが捉えた沈黙の感動光景

 最後までタイトル争いを繰り広げた太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は、ランキング2位の牧野任祐と同ポイントで迎えた最終戦、見事に3位表彰台を獲得したものの、惜しくも自身初の戴冠はならなかった。レース後、マシンを降りた太田は、ヘルメットを被ったまま悔し涙を流し、項垂れていた。

 その悲痛な背中に、そっと歩み寄り、言葉もなく健闘を称えたのは、野尻智紀(TEAM MUGEN)だった。2度のシリーズタイトル獲得経験を持つ36歳のベテランは、同じホンダ営の若手である太田を慮り、何も言葉をかけずにその背中をポンと2度叩き労った。

 野尻は前日22日の第11戦決勝で16戦ぶり今季初優勝を飾るなど、苦しいシーズンを乗り越えてきた。最終戦では僚友の岩佐を援護する脇役に徹したが、元王者としての振る舞いが感動を呼んだ。太田を労った直後、野尻は信憑な面持ちで立ち尽くしたが、直後に優勝したチームメートの岩佐が現れると抱き合い、喜びを分かち合った。

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