■プレコンセプションケアとは

プレコンセプションケア
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 少子化対策において近年、重視されているのが「プレコンセプションケア」だ。田中氏によると、「受胎(コンセプション)の前(プレ)、妊娠を考える前から必要な知識を得ることを指す。男女を問わず、あらゆる人が人生の選択肢を増やすために、知るべきことを学ぶという政策が、各自治体で行われている」という。

 実施にあたっては「『産め』という圧力にならないことが大事だ。知識を学ぶことは必要だが、間違った伝わり方をしたり、圧力を感じさせたりしないように、配慮しなければならないのはもったいない」との懸念を示す。

 フリーアナウンサーの柴田阿弥は、「プレコンは絶対にやった方がいい。学生の頃は『妊娠すると大変なことになるから、絶対に避妊しよう』と刷り込まれる一方で、『子どもを作ろうと思えば、すぐにできる』と思っていた。しかし実際に結婚すると、なかなかできずに悩む人が多い。そこには性教育の不足があるのだと思う」と話す。

 田中氏は「プレコンには性教育も大切だが、そもそもの人権である『性と生殖に関する健康と権利』がベースにある。『いつ何人子どもを持ちたいのか、あるいは持たないのか』を含めて、誰とどんな人生を歩むかを決める権利がある。そうした意識がないまま、いきなり20代以降にプレコンとなっても、『産めと言われる圧力』につながってしまうため、もったいない。もうちょっと整えた方が伝わるのではないか」と考えている。

 河崎氏は「プレコンをめぐる議論でも、脳内にはずっと『女性』が置かれている。妊娠や出産の主体は女性であるから、出生数には女性の数も重要になるのは当然だ。ただ、日本人は幼少期からの性教育も含めて、『女性をどう育てるか』の視点がすごく偏っている」と指摘する。「20歳を過ぎた頃から、突然『産んでいい』と承認されて、逆に今度は産んでいないことを責められることに、ゆがみを感じる」。

(『ABEMA Prime』より)

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