■4割の男性は「自分に問題があると思わない」 原因&治療法は
WHOの調査(1993年)によると、不妊症の原因は男性のみが24%、男女ともにありが24%、女性のみが41%、原因不明が11%と、男性に原因がある可能性は約50%あるいう。また、アンファーの調査(2021年8月、20代〜40代の男性500名が対象)では、精液検査を受けない理由について「自分に問題がない」と38.0%が答えている。
無精子症は、精液中に精子が確認できない病気を指し、精子の通り道が塞がっている「閉塞性無精子症」や、精子をつくる働きが低下する「非閉塞性無精子症」などがある。辻村氏は、(晩婚化とともに)約60人に1人が無精子症だと説明する。検査方法には、精液検査(保険適用:数百円、適用外:数千円)と、血液検査、尿検査、超音波検査など(数万〜数十万円程度)がある。
辻村氏は、一般的な認識として「精液が出なければ『おかしい』と思うが、精液が出ていれば、まさかその中に精子がいないとは考えない」としつつ、検査について「顕微鏡で精子数を数える。精子がいても、前に進む力が弱い場合がある。良好な精子は数も多く、どんどん前進する。ほぼ前に進まなければ自然妊娠は難しい」と説明する。
男性不妊の原因としては、「生活習慣の乱れ」「不規則な睡眠時間」「食事のバランスの悪さ」「肥満」の4点を挙げる。また、やってはいけない習慣として、「サウナを1回15分、週2回以上を続けている」「ぴったりフィットの下着を履いている」「マラソン・トライアスロンなどの激しい運動」などを挙げた。
では、男性不妊の場合、治療法はあるのか。血管の異常であれば手術で治せるものの、患者の8割は精液の状態が悪いといい、うち半数以上は原因不明で治療法もないとする。また、原因が分かっていても、経口薬による治療での改善は2割程度。治療は最短3カ月かかるため、早期の検査を求める。
世代による差については、「一般的には、年齢が若い方が睾丸の状態がいいと言われている。無精子症では手術により、睾丸から精子を見つける必要があるため、やる治療は同じだと考えられるが、若い時の方が見つかる確率は高いのではないか。精子が出てくる道が詰まって無精子症になる場合もあるため、早めに手術した方がいい」と促した。
■男性不妊治療の課題
